ボキャ恵名作集<31>
名作No.601 第97回・平均2.917点獲得 | |
実力拮抗の大乱戦 サバイバルゲーム (大阪・フリー) |
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小林 | なぁ。これだろ?お前のおじいちゃんが遺した朱鷺(トキ)の飼育日記って。 早く読んでくれよ! |
矢島 | ああ。僕も日記内容を見るのは初めてなんだよ。じゃ読むよ。 え〜、『香山教授と2匹のトキ飼育日記』記、矢島耕助。 「1965年、特別天然記念物に指定されているトキを守るべく、 香山教授の助手としてわたくし矢島はここ新潟県佐渡に赴きました。 現在日本で確認されているのは、わずか数十羽です。 私たちはトキの絶滅を防ぐためにと2匹の幼鳥を預かりました。」 |
小林 | へぇー。お前のおじいちゃん、凄い仕事してたんだな!早く続き続き! |
矢島 | 「牡の名はケイケイ、牝の名はユウユウ。私たちは2匹が無事交配出来るよう、 そして元気な子供がたくさん産まれるよう、国からの指示を受け人工飼育をするのが目的です。 外に放した場合は、外敵にやられてしまう危険性があります。」 |
小林 | うんうん。オスとメスが1匹ずつね。それでそれで? |
矢島 | 「牡のケイケイは消極的です。すぐ檻の隅っこで、まごまごします。 対して牝のユウユウは積極的です。 立派なトキ胸を強調させケイケイに近づきますが、中々相手にされません。」 |
小林 | オスのほう酷いな!せっかくメスちゃんがアピールしてくれてるのに・・。 |
矢島 | 「そこで香山教授は考えました。押しても駄目なら引いてみようと。 今までは1つの檻で2匹を飼育していましたが、見える位置にそれぞれ檻を分ける事にしました。 すると寂しいのか牡のケイケイのほうが、しきりにユウユウに対し「グァー」と鳴くようになりました。 作戦成功です。」 |
小林 | おっ!教授、頭イイじゃん!! |
矢島 | 「ただ問題はそれからでした。2匹は相思相愛になりましたが、交配には至りません。 1つに戻した檻の中で口ばしをくっ付けたり、体を寄せ合うだけの日々が続きます。 教授のタバコを吸う量が2倍に増えたのが心配です。」 |
小林 | ん〜、雲行きが怪しくなってきてないか? |
矢島 | 「さらに私たちに、それらの行為を見せ付けるようになりました。 ケイケイに至っては、体はユウユウにべったりなのですが、視線は教授に向けます。 絶対に絶対に教授だけ見続けます。 (・・中略)髪の毛がすっかり抜け落ちた教授は、飼育所の窓を全開にし朝焼けの空を眺めています。 まるで全てを悟ったような疲れた横顔が印象的です。そして・・・、」 |
小林 | そして!? |
矢島 | 「嫌がって解き放ちました。」 (「やがて時は経ちました。」) |
小林 | 職務放棄してんじゃねえか!! |
名作No.602 第97回・平均2.583点獲得 | |
ミズスマシ愛好会会長補佐 バジリコ風味 (東京・フリー) |
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A | (芸人になってもう15年。 何度かブレイクのチャンスはあったものの、ことごとく逃してしまった。 今後売れる保証も無いし、そろそろ潮時なんだろうか…) |
B | ねー、パパ遊んでよーっ。 |
A | (一人娘ももうすぐ高学年。もっと安定した仕事探した方がいいのかも…) |
B | ねえっ、昨日やったくすぐり対決の続きやろうよ〜。 |
A | …よーし、じゃあパパの攻撃からだったよな。 せーのっ、こちょこちょこちょこちょ〜。 |
B | きゃはははは、きゃはははは。…ちょっ、ちょっとやめてよーっ。 |
A | ……。なあ優子。お前、パパのこと好きか? |
B | うん、大好きーっ!! |
A | どんなとこが好きなんだ? |
B | えっとねえ、いつも面白いとことか毎日遊んでくれるとことか。 あと、テレビでお仕事してるところ! 学校でみんなに自慢してるんだー。 |
A | (まあ、テレビと言っても前説なんだけどな。 でも娘がそう言ってくれてるのなら…。 もうちょい頑張っていまの仕事続けてみようか) ありがとう、優子! 父さん嬉しいよ。 じゃあご褒美に、もう一回こちょこちょこちょこちょ…。 |
B | きゃはははは、きゃはははは。 |
A | 今度は足の裏をこちょこちょ〜っ。 |
B | …もうっ、パパったら くすぶりすぎだよ〜 (くすぐりすぎだよ〜) |
A | わかってんのかよ!! |
名作No.603 第97回・平均3.083点獲得 | |
初恋☆ルネッサンス いぶくろ (静岡・フリー) |
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伊吹 | 突然ですが、催眠術が使えるようになりました。 |
黒川 | ハハハ、お前にそんなことできるわけないだろ。 |
伊吹 | ということで、早速黒川さんにかけてみようと思います。 |
黒川 | どんな暗示をかけようって言うんだ。 |
伊吹 | 今から私が「ワン・ツー・スリー!」と言ったら、黒川さんは緊張で何もできなくなります。 |
黒川 | はぁ?もうボキャ恵に30回以上出てるって言うのに、今更緊張も何もないだろ? |
伊吹 | それでは数えます。ワン・ツー・スリー! |
黒川 | そんなんでかかる訳が……ん…あれ…? |
伊吹 | さぁ、黒川さん。いつも通りしゃべってみてください。 |
黒川 | え…何だこれ…?…どうしたんだ、俺!?……うまくしゃべれねぇ!? |
伊吹 | どうですか、何か変化はありましたか? |
黒川 | う…嘘だろ、俺…!?フォント明朝になってる!? (ホント緊張しちゃってる!?) |
伊吹 | いや、驚く所そこかよ!? |
名作No.604 第97回・平均2.583点獲得 | |
永世名人(三世) なまず体操 (埼玉・フリー) |
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魚住 | 吉川くん。先ほどの研究結果は非常に興味深かったね。 あの研究結果に再現性があるものなら、「なまずカプセル」の量産が実現する。 「なまずカプセル」の量産に成功すれば、日本の……いや、人類の医学は大きく進化する! 我々は、歴史に名を残すことになるのだ! |
吉川 | はい! 魚住所長。 |
魚住 | 今まで本当に長い道のりだったな、吉川くん。 この研究所も幾度となく資金不足に見舞われた。 研究費用も不足し、何度も立ち行かなくなるかと思われた。 しかしその都度、我々の未来に賭けてくれた企業やスポンサーの方々が支えてくれた。 あの「なまずカプセル」の生産が再現できれば、彼らの恩義にも報いることができる。 さぁ、吉川くん。すぐに研究結果を再現して「なまずカプセル」を量産するのだ! |
吉川 | そ、それが、所長……。 |
魚住 | ん? どうしたのだ? |
吉川 | 協賛企業にも、財源がなくて……。 (量産しようにも、再現しなくて……) |
魚住 | ついに資金が尽きたか! |
名作No.605 第97回・平均3.000点獲得 | |
永世名人(一世) イワトビペンギン (千葉・フリー) |
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(放課後、音楽室の中で・・・) |
緋水 | はあ・・・、もう部活やめようかな。 俺には才能なんかないんだ・・・。 |
稲葉 | (ガチャ) おー、緋水くん、まだ音楽室にいたのか。 もう帰っちゃったかと思ったよ。 ・・・どうしたの?そんなため息をついて落ち込んで? 何か嫌な事でもあったのかい? |
緋水 | ・・・実は、俺、軽音部をやめようかと思っているんだ。 |
稲葉 | どうして!!今まで一緒のバンドとしてあんなに頑張ってきたのに!! |
緋水 | ・・・俺は、とあるアニメの影響でこの軽音部に入ったんだ。 そして、稲葉くん達とバンドを組んで、新垣先輩に曲を書いてもらってライブで演奏して・・・とても楽しかったよ。 |
稲葉 | そうだよ、俺も楽しかったよ! |
緋水 | でも!!新垣先輩たちが卒業して・・・俺には、全然曲が書けないんだ。 新垣先輩のようなパワーあふれる曲は書けないんだ。 どう頑張っても、新垣先輩のようにはなれない、俺には才能が無いんだ。 ・・・そう思うと、楽器も手につかなくなって、これ以上部活を続けるのも嫌になってしまって・・・。 |
稲葉 | 馬鹿野郎!!! |
緋水 | !? |
稲葉 | 曲が書けないんだったら、俺が書いてやるよ!! 楽器が弾けないんだったら、俺が二つでも三つでも弾いてやる!! でも、お前は、俺達のバンドに必要なんだよ。 お前がいなきゃ、俺達は・・・俺達じゃなくなっちまうんだよ。 だから、軽音部を辞めるだなんて、言わないでくれ。 |
緋水 | 俺なんか、役立たずだよ! 先輩がいたときも生意気ばかり言って「こんな曲、俺でも書けますよ」って楯突いて、 でも、実際は何もできなくて・・・。 俺は、一生嘘つきの役立たずのレッテルを貼って生きていくんだ。 |
稲葉 | そんな事はない!! お前が反発することによって、このバンドは成長してきたんだ。 みんな必死に、いいものを作ろうとして頑張ってきたんだ。 確かに、先輩もよくお前と口喧嘩して揉めてたな。 でも、陰では、お前のこと、よく話してたよ。 お前の実力は、みんな知ってる。 お前の本当の姿を、みんな知ってる。 先輩や周りの人たちがどう思っているか知っているか? |
緋水 | え・・・。 |
稲葉 | 本当は耳が聞こえてるって。 (本当は君を認めてるって。) |
緋水 | 俺は、偽ベートーベンじゃねぇよ!!! |
名作No.606 第97回・平均2.846点獲得 | |
永世名人(二世) ホワイトサイダー (茨城・フリー) |
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(男子フィギュアの選手とその監督と振付師が、浅田真央選手の練習を見学中…) |
監督 | どうだ、浅田選手の練習風景は? |
選手 | ……(練習の様子を食い入るように見つめる) |
振付師 | 世界のトップ選手だって、こうやって真剣に練習しているのよ。 |
選手 | ……。 |
監督 | 貴方が男子ジュニアオリンピックで金メダルを取った演技は素晴らしかった… 躍動感があり、観客にまで楽しさが伝わってきた…。 |
振付師 | しかし頂点に立ったことで目標を見失い、結果モチベーションを無くし練習に身が入らなくなった…。 |
選手 | ……。 |
監督 | こうやって浅田選手の様子を見れば、何か刺激を得られると思ったのだ。 |
振付師 | 練習すれば、貴方も絶対トップの一員になれる。どうかその気を取り戻して欲しいの… |
選手 | …凄い…素晴らしい… |
監督 | …え? |
選手 | …あの可憐な演技、繊細な滑り、優雅で美しい表現力…どれも凄いよ!俺もああいう風になりたい!! |
振付師 | ヤル気を持ち直してくれたのね! |
選手 | …俺、やっと目標ができたよ!!俺目覚めたよ!!! |
監督 | やはり浅田選手に刺激を受けたのだな!! |
振付師 | これでまたオリンピック…いや優勝も夢じゃないわ!! |
選手 | 俺、ソッチの道に向かって、絶対タマキン取るよ!! (ソチの道) (また金獲るよ!!) |
監督 | オンナの道に目覚めちゃたよ!! |
名作No.607 第97回・平均2.615点獲得 | |
永世名人(四世) 黄金コンビ (三重・フリー) |
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正黄 | おい金森。お前だろ、俺の30万入りの給料袋を盗んだのは・・・ |
金森 | おいまだそんな事を・・・。昨日も言ったろ、俺はお前の給料袋なんか盗んでないって・・・ |
正黄 | ったくいつまでもとぼけやがって・・・。 いいか。あのおとといの晩、屋台で飲んでたのは俺とお前の2人だけだったんだからな。 |
金森 | ほーう、たったそれだけで俺を疑うってのか? 俺が給料袋を盗んだってのか? |
正黄 | あぁ盗んだね。言っとくが俺はお前がどういう人間かよーく知ってんだからな。 お前は金に目がない奴だ。他人の金でも平気で奪おうとする。 今回の30万入りの給料袋だって知らないとは言わせない。 俺はな、絶対あきらめねーぞ。お前が返すまで毎日聞き続けてやる。 明日も、あさっても、その次も、1週間後も、1ヶ月後もだ! |
金森 | いい加減にしろ! いいか、もう一度だけ言う。 俺はお前の給料袋なんか盗んでない! 絶対に盗んでない! その中身だけは頂いたが・・・ (この話やめな、知らないから・・・) |
正黄 | 早く返せバカヤロー!! |
名作No.608 第98回・平均3.000点獲得 | |
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 永世名人(四世) 黄金コンビ (三重・フリー) |
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(病院に向かっている1台の車・・・) |
正黄 | ううっ・・・ |
金森 | おい大丈夫か親父? |
正黄 | あぁ何とか・・・。すまんな進一、病院までこうして車で送ってもらって・・・ |
金森 | いやいいよ。でもまさか丈夫だけが取り柄の親父が脚をケガするなんてな・・・。 病院まであと20分ほどかかる。それまで我慢しろよ。 |
正黄 | ああ・・・。ところで進一、今向かってる病院ってどんな感じの病院なんだ? |
金森 | それがな、かなり小さな病院なんだよ。看護婦もたったの5人しかいない。 |
正黄 | おいおいそんな所で大丈夫なのか? |
金森 | 大丈夫だよ。小規模でも腕のほうは確かなんだから・・・。 それにな、聞いて驚け。あそこの看護婦たち、5人ともスカートが超ミニなんだよ。 |
正黄 | うわマジか!? |
金森 | ああ。ありゃきっと県内一、いや日本一の短さだろうな・・・ |
正黄 | そ、そんなに・・・! じゃ、じゃあスカートの中も見えるのか!? |
金森 | ああ。なんせ超ミニだからな。ちょっと頭を下げるだけでどの看護婦のパンツもバッチリ見えるぜ。 |
正黄 | うぉおおお見たい!見たい!見たい! よーしもっとスピードを上げろ! |
金森 | しかも全員80代。 (しかも全員が20代。) |
正黄 | おいすぐ引き返せ!! |
名作No.609 第98回・平均2.692点獲得 | |
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 永世名人(二世) ホワイトサイダー (茨城・フリー) |
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(ある伝道師と弟子が、とある町へ布教しにやってきた‥) |
伝道師 | 皆の者、我が名はモーセ。我々は神から使命を受け、神の声を届け民を救うべく世界を旅している。 |
弟子 | いきなりこの方を信じよ、というのは難しいかもしれない。でも神はこの方に、奇跡の力を与えたのだ。 それをお見せしよう。 |
伝道師 (モーセ) |
‥アラビウカタラビウカエイメン‥‥ハァ!!! |
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(モーセが海に呪文を唱えると、海が真っ二つに割れる) |
弟子 | ‥どうだ皆の者、この方は神から力を授かった、全ては皆を導くため‥ |
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(と、一人の子供が前に出る) |
子供 | ねえねえ、僕にもそれ出来るよ? |
モーセ | ‥それは凄いね。でも坊や、嘘をつくのはよくないぞ。 |
子供 | あらびうかたかびうかえいめん‥‥はぁ! |
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(子供が海に呪文を唱えると、海が真っ二つに割れる) |
弟子 | ‥凄い‥‥もしやこの子は奇跡の子、神の生まれ変わりかも‥ねぇモーセさm‥‥モーセ様!? |
モーセ | (酷く落ち込み)ええェ‥子供に負けたよ‥俺選ばれし者なのに子供に負けたよ‥。 |
弟子 | も、モーセ様‥大丈夫ですよ! いくら子供が凄くても、貴方は神に選ばれたのですから! |
子供 | あらびうかたかびうかえいめん‥‥はぁ! |
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(子供が海に呪文を唱えると、海が7つに割れる) |
モーセ | あああ7つに割れたよ!!俺2つが限界なのに‥これじゃあ民を導けない、世間に見捨てられるよう!! |
弟子 | だ、大丈夫ですよ!世間は貴方を忘れません、一発屋じゃないですよ! |
子供 | うんこぶりぶりうんこぶりぶり‥‥はぁ! |
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(子供が海に呪文を唱えると、海が216つに割れる) |
モーセ | 呪文がウンコでも割れたよ!どういうこと?俺ってウンコ以下ってこと? |
弟子 | だ、大丈夫ですよ!貴方はウンコじゃない、むしろ人間以上ですよ! ‥そうだモーセ様、神様の戒律を思い出して下さい!神から貴方だけに伝えられたあの戒律を! |
モーセ | あの‥戒律? |
弟子 | そうですよ!あの戒律を皆に伝えれば、きっと民を導けますよ! |
モーセ | そ‥‥そうだな、子供に惑わされて本来の目的を忘れていた。 我は神に選ばれしものとして、戒律を皆に‥ |
子供 | うんこぶりぶりうんこぶりぶり‥はぁ! |
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(子供が海に呪文を唱えると、海全体にウンコのラテアートができる) |
モーセ | ‥‥。 |
弟子 | も、モーセ様? |
モーセ | ‥ちょっと樹海逝ってくる。 (十戒言ってくる) |
弟子 | メンタル弱すぎぃ!! |
名作No.610 第98回・平均3.167点獲得 | |
☆ 実力拮抗の大乱戦 サバイバルゲーム (大阪・フリー) |
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矢島 | ・・よく来てくれたな小林、待っていたぞ。 |
小林 | 監督!今さらグラウンドへ呼びつけるなんて何ですか?! 俺はもう野球なんかに未練は無いんですから・・。 |
矢島 | そう言いながらも足元はスパイクじゃないか。それにそのグローブ、 半年前に辞めた部員の持ち物なら、そんなに使い込まれているはずは無いと思うが。 単刀直入に言うぞ小林。お願いだから野球部に戻ってきてくれ。 元エースのお前が居れば今年の夏、必ず甲子園が狙えると思っている。 |
小林 | 監督も知っているでしょ?!去年の秋季大会で相手バッターの頭に死球を投じてから、 俺はもうピッチャーとして終わってるんスよ!怖くてキャッチャーに投げられないんですよ!! もう壁に向かってキャッチボールしか出来ないんスよ!! |
矢島 | そう言うと思っていたよ。だから今日は・・、私に向かって投げてくれ。 防具を付けていないミットだけの定年間近な監督に向かって全力でな。 |
小林 | ちょっと待った!確か監督は元キャッチャーらしいですけど腰痛で引退したって言っていたじゃないっスか?! 今でも通院しているって噂ですし・・。 |
矢島 | よく覚えているな、重度のヘルニアだが問題は無い。いいから早くマウンドに上がってくれ。 |
小林 | えっ!?そんな事言われても久々なんで、もう訳が分からなくて・・。 |
矢島 | たった1球の失投でエース小林の野球人生が終わるはず無いと私は思っている。 ・・それとも臆病風に吹かれて、ここから逃げようとでも考えているのか? |
小林 | ・・・っ!うぉーーっ!!いくぜこの野郎!!うりゃ!! |
矢島 | 『パァン!』・・何だ投げれるじゃないか。ではもう1球行こうか。 今度はここに全力投球で頼む。・・お前のウイニングショットを久々に見せてくれ。 |
小林 | あの時と同じ右打者に対しての内角高め!よぉぉし!!そぉぉりゃ!!! |
矢島 | 『ズバァァン!!』・・ようやく本来の姿を取り戻したな小林。 本当に良かった。これでお前の治療は完了だな。 |
小林 | 監督!ありがとうございます!!俺なんかの為にここまでしてくれるなんて!! どうしてですか?!何か理由でもあるんスか?!! |
矢島 | 私は来年恐らくこの学校には居ないはずだ。何か目標が無いと人生楽しくないだろう? 未来ある若者の素質を伸ばす事が今の生き甲斐なんだよ。 見てみろ、体が震えて止まらないんだ。つまりお前の剛速球を受けた事によって私自身は・・ |
小林 | 監督は・・・?! |
矢島 | もう致命傷の域までは達している。 (モチベーションの維持まで果たしている。) |
小林 | めちゃ腰のヤセ我慢してたんじゃん!! |
名作No.611 第98回・平均2.500点獲得 | |
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 永世名人(一世) イワトビペンギン (千葉・フリー) |
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緋水 | (とある映画の撮影所) はい、オッケーです!! 稲葉さん、今のがラストシーンで、クランクアップです! |
稲葉 | はあ〜、お疲れ様でした。 本当に撮影期間が長かったですね。 |
緋水 | 稲葉さん、本当にありがとうございました。 (花束を渡す) これは、スタッフからの気持ちです。本当にお疲れ様でした。 (撮影スタッフからの拍手の嵐) |
稲葉 | えっ!?えっ!?えっ!? これ・・・僕にですか・・・!? うっ・・・、本当にありがとうございます(涙)。 あんなに、撮影中、演出や撮影に文句を言ったり、 意見を図々しく言ったりしたのに・・・。 |
緋水 | いえいえ、いい映画を作るためにはそういうのは必要ですよ。 僕らも稲葉さんの映画に賭ける強い気持ちが分かりました。 |
稲葉 | しかし・・・、僕も役の事になるとついつい熱くなってしまって、 スタッフの方たちに対して、無礼な事ばかり言ってしまって、 嫌われても仕方ないと思っていたのに、 こんな花束やお礼の言葉をもらえるなんて、思ってもみなかったですよ。 |
緋水 | そんな・・・、気にしないでください。 |
稲葉 | いやいや、すごく酷いことばかり言ってましたよ。 「お前らは映画のこと、微塵も分かってない!」とか 「こんなことも分からないなんて、ゴキブリの脳みそか!」とか 「演出のえの字もわからないのか、このミジンコめ!」とか 「何度も言わせるな、この単細胞!!」とか 「いい加減早く覚えろ、この単細胞!!」とか 「このシーンの重要性分かってんのか、この単細胞!!」とか・・・ |
緋水 | ええ・・・まあ、終わったことですし・・・。 |
稲葉 | でも、今なら、僕は胸を張ってこう言えます! |
緋水 | はい!! |
稲葉 | 「STAP細胞でした」と。 (「スタッフ最高でした」と。) |
緋水 | いやいやいや!今それも問題になっているから! |
名作No.612 第99回・平均2.500点獲得 | |
☆☆ 地デジ時代の無彩色 モノクローム (埼玉・鋳☆スタジオ) |
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白川 | 母さんどうしたの? その葉書き…。 |
黒田 (白川の 母) |
これ? 灰谷さんからよ。 |
白川 | ああ、前の家の時隣に住んでた…。 |
黒田 | 「今年も庭の桜の木が開花しました」って。毎年律儀に送ってくださるのよ。 ――本当は一度ぐらい顔を見せに伺いたいところだけど、仕事してるとなかなかそうも行かなくてね…。 |
白川 | ――そうだ! 僕今度あっちの方まで行く用事があるから、その時に足伸ばして訪ねてみるよ。 顔見せたらおばさん喜ぶだろうし、あの桜も久しぶりに見たいしね。 |
黒田 | あら、そう? じゃあよろしく伝えておいてね。 |
―― | そして―― |
白川 | えーと、確かここを曲がって……あ、あそこだ! ――っと、なんだろう? 玄関先がバタバタしてるみたいだけど…。 |
黒田 (子供) |
〔とてとてとて……〕 |
白川 | ! あれは…… . . . ねえ君、もしかして九郎くんかい? |
黒田 | えっ!? だ、誰? |
白川 | 覚えてないかな? 昔隣に住んでた… |
黒田 | ――四郎おにいちゃん!? 久しぶり! 一体どうしたの? |
白川 | この前九郎くんのお母さんから「桜が咲いた」って葉書きをもらってね。それで今日たまたま近くに用があったから、 ご挨拶がてらまだ咲いてたら見せてもらおうかと思ってやってきたんだよ。――それで、お母さんはいるかな? |
黒田 | ざんね〜ん、昨晩ママはポックリ逝っちゃたよ。 (桜の花はとっくに散っちゃったよ。) |
白川 | えええ!? てか受け止め方軽っ!! |
名作No.613 第99回・平均2.556点獲得 | |
ミズスマシ愛好会会長補佐 バジリコ風味 (東京・フリー) |
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A | (ガチャッ)ただいま〜。 |
B | あなた…お帰りなさい…。 |
A | どうした頼子、元気無いな。 …あれっ、しずかは? まだバイオリンから帰ってないのか? |
B | しずかは今日から2泊3日の夏休みキャンプに出かけたわ。 |
A | あー、そういえばまたいつものメンツで海に行くって言ってたな。 …そうか、お前しずかのことが気になって暗くなってたのか。 |
B | そうよ。あの子無事かしらって考えてたら、何か落ち着かなくって…。 |
A | まあ、大丈夫なんじゃないか? あの剛田とかいうデカい奴は力だけは頼りになりそうだし…。 あと、例の青ざめたタヌキも一緒に行くんだよな? あいつが持ってる便利道具で、いざって時も何とかなるだろ。 |
B | でも……。ああ、やっぱり山にしなさいって言うべきだったのかしら。 |
A | 確かに真夏の海は危険が一杯って言われるけどな…。 それにしてもお前、ちょっと気にしすぎなんじゃないか? |
B | ……だって深海なんだもんっ! (……だって心配なんだもんっ!) |
A | 深海行ってんのかよ! そりゃ気が気じゃ無いわ!! |
名作No.614 第99回・平均3.333点獲得 | |
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 永世名人(一世) イワトビペンギン (千葉・フリー) |
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緋水 | 今日は息子の小学校の学芸会を見に来たけど、 うちのクラスはどんな劇をやるのかなぁ・・・。 なになに、「世界名作劇場 フランダースの犬」か。 いやあ懐かしいなあ。昔アニメでやってたもんなあ。 でも、ちゃんとお芝居できるのかあ。 |
稲葉 | (よあけのみち/大杉久美子 フランダースの犬OP) ♪ラララ ラララ ズィンゲン ズィンゲン クライネ ヴリンダース ラララ ラララ ズィンゲン ヴリンダース ラ ラ |
緋水 | おおお!曲も懐かしいなあ。 |
稲葉 | ♪ミルク色の夜明け〜 |
緋水 | 主人公ネロが出てきたぞ! うちの子は確か、ネロをやるって言っていたな。 まあ、舞台の上にネロが5人もいるが、 見なかったことにしよう・・・いろいろな事情があるんだろう。 |
稲葉 | ♪見えてくる まっすぐな道〜 |
緋水 | おお、女の子のアロアだ! 衣装もちゃんと作っているんだ、すごいなあ。 まあ、舞台の上にアロアが13人もいるが、 気づかなかったフリをしよう・・・いろいろ言う人がいるんだろう。 |
稲葉 | ♪忘れないよ この道を〜 |
緋水 | ・・・って!ルーベンスの絵が出てきたよ。 最終回のクライマックスで出てくるだろ普通! ってか、絵の役って何だよ!!しかも、20人も出てきたよ! 配役どうなってんだよ!! |
稲葉 | ♪パトラッシュを省いた〜 (♪パトラッシュと歩いた〜) |
緋水 | そこは省略しちゃダメだろ!!! |
名作No.615 第99回・平均2.875点獲得 | |
☆☆☆ 永久新人宣言 蝶戦車 (福井・フリー) |
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森下 | こうして権兵衛は、打ち首獄門になりましたとさ。めでたし、めでたし。 |
南城 | えー、それってめでたいの〜? |
森下 | そうかな? |
南城 | えっと…、「何かが引っ掛かる」って言うんだっけ? |
川道 | おっ、幹男は随分難しい言葉知ってるな〜。 |
森下 | 賢いわね〜! じゃあ幹男ちゃんは賢いんだから、もう寝ましょうね。 |
南城 | えー!?もっと絵本読んでよ〜! |
川道 | そうか、じゃあ今日、面白そうな本を見つけてきたんだ。 「本当は怖い日本昔話」って本。 |
森下 | そういえば昔、本当は怖いグリム童話とかって流行ってたわね。 何だかパクリ臭がプンプンするんだけど? |
南城 | それでいい、それでいい!何でもいいから読んで〜! |
川道 | ハハハ、意外と幹男には理解出来ちゃったりしてな。 じゃあ、最初から読んでいくぞ。 昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。 二人は欲の無い生活を送っており、おじいさんは 「金が無くとも、わしはばあさんが居れば、それで幸せじゃ」というのが口癖でした。 |
南城 | うん、それでそれで? |
川道 | ある日、おじいさんが山で死んだばっかりに、 (おじいさんは山へ柴刈りに) おばあさんは変わって、贅沢に生きました。 (おばあさんは川へ洗濯に行きました) |
森下 | 保険金殺人の臭いがするわ! |
名作No.616 第99回・平均3.125点獲得 | |
☆☆☆☆☆☆☆ 三代目名人 QUO (千葉・フリー) |
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藤田 | なんか暇になっちゃったなぁ〜。 撮り貯めてた「いいとも」のビデオでも観るか。 |
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(ピッ) |
佐藤 | ♪お昼休みはウキウキwatching〜 |
藤田 | もうこの歌を聴けなくなるのはさびしいなぁ。 あ、「テレフォンショッキング」始まった。 今日は誰だろ? 確か前日が俳優の的場浩司で・・・ |
佐藤 | 佐村河内さんからのご紹介、小保方です。どうぞ〜 (的場浩司) (この方) |
藤田 | 何繋がりだよ! |
名作No.617 第99回・平均2.667点獲得 | |
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 永世名人(四世) 黄金コンビ (三重・フリー) |
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正黄 | はぁ・・・。元々心臓の弱い俺だったが、とうとう入院しちまったか・・・。 これから暫くはこうしてベッドの上で過ごさなきゃいけないんだな、あぁ〜やだやだ・・・ それにしてもさっき看護婦たちの話を聞いてしまったけど、 この病院、1週間前にベッドを何台か買い替えたらしいな・・・。 何でも10台買い替えて、そのうち1台だけはどうしても間に合わずに中古で今日買ったとか・・・。 そういやよく見るとこのベッド、所々汚れてるなぁ・・・。てことはこのベッドが・・・? 最近じゃ中古でベッドを買う病院もあるらしいが、でも何だかなぁ・・・ |
金森 | (ガチャ)やあ正黄さん。 |
正黄 | あ、先生。 |
金森 | どうですか、具合のほうは? |
正黄 | ええ、あまりよくないですね・・・。何だか今にも死にそうって感じです・・・ |
金森 | 死にそう? あらあらそりゃ困りましたね。 |
正黄 | あの先生、さっき看護婦さんたちの話を聞いてしまったんですが・・・ |
金森 | ああ、1週間前にベッドを10台買い替えたという・・・。聞いてしまいましたか。 |
正黄 | で、このベッド所々汚れてるんですが・・・ |
金森 | ああ、そのベッドなんですがね、 これまで15名 世を去ったんですよ。 (それだけ中古で今日買ったんですよ。) |
正黄 | おい中古の方でいいから替えてくれ!! |
名作No.618 第99回・平均2.875点獲得 | |
☆☆ 実力拮抗の大乱戦 サバイバルゲーム (大阪・フリー) |
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小林 | 皆さん今晩は!恵友放送がお送りする勝負型バラエティ「矛・盾」! 今夜は昨年大反響を呼んだあの名勝負が再び甦ります! まずは「写真であることを絶対に見破る千里眼の持ち主」こと矢島さんの登場です!どうぞ!! |
矢島 | こんばんは。お久しぶりです。 |
小林 | 昨年は10枚の中から1枚だけあった夕暮れの写真を見破りましたね。 あの時はどの様にして判別していたのでしょうか? |
矢島 | そうですね。最近は絵の技術が進歩していますから骨が折れましたね。 とにかく写真が醸し出す独特の表現だけを目で追うように心掛けてました。 |
小林 | やはり見る目が無いと難しいと言ったところでしょうかね! そんな千里眼を持つ矢島さんと今回対決するのは・・こちらです! |
矢島 | これは・・桜ですか。 |
小林 | その通りです!ここに用意したのは10枚の桜の絵!まさに 「写真と見分けがつかない絵画達!」日本各地の桜を用意しております!さていかがでしょう矢島さん?! |
矢島 | なるほど・・。これは前回より厳しい戦いになりそうです。いかんせんピンクカラーの膨張色は目に堪えますから。 |
小林 | ただ矢島さんは前回10枚から見破った実績が既にあります。 そこで今回は・・、あちらの別会場をモニターでご確認下さい! |
矢島 | ・・・あれ一体何枚あるんですか?随分と数が多いような・・。 |
小林 | 千里眼に勝負するために桜の絵をなんと999枚用意しました! そしてカメラで撮った桜の写真を1枚だけ加えてます!足すとちょうど千枚! まさに「千里眼」対「千本桜」!! 協力して頂いた画家・美大生・イラストレーターの方々!本当にありがとうございました!! |
矢島 | ・・・私今年60ですよ?千枚全て目を通すことなんて絶対無理・・ |
小林 | ご安心下さい!!今回は制限時間を長めに設けております!!なんと48時間です!! 加えて水・食料・寝袋の用意もバッチリです!! |
矢島 | ・・・・。 |
小林 | なぁ〜に問題無いですよ!!早く1枚の写真を見つけてしまえば、そこで終わりなんですから!! |
矢島 | ・・・・・・・。 |
小林 | ではお聞かせ願います!!これらの絵画達は写真と比べ、矢島さんの目にはどのように映りましたか?! |
矢島 | もうイイ
分かんないです。 (もう違和感無いです。) |
小林 | ああっ!!帰っちゃ駄目!!! |
名作No.619 第101回・平均3.083点獲得 | |
ミズスマシ愛好会会長補佐 バジリコ風味 (東京・フリー) |
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A | たまにはテレビでも観るか…。(ピッ) |
B | ♪赤ペン先生〜、進研ゼミ♪ |
A | おっ、進研ゼミのCMだ。 まだやってんのか懐かしいな。 |
B | 進研ゼミの赤ペン先生は、全国の子ども達から届いた答案用紙に対して、 毎日毎日、親切丁寧に指導しています。 |
A | そうなんだよなあ。 俺も昔やってたけど、すごく綺麗な字で添削してくれるんだよね。 |
B | …しかし近年、全国の赤ペン先生が存続の危機にあるのをご存知ですか? |
A | ……。えっ? |
B | 少子高齢化に加え、学習塾に通う子ども達が増加している現代、 チャレンジメイトは年々減少しているのです。 業務の効率化も進められ、答案用紙がすべてマークシートになるのも時間の問題です。 |
A | マジかよ……。世知辛いな。 |
B | そして人件費削減のため、多くの赤ペン先生が自主退職を迫られています。 彼らはいま、新たな居場所を求めて様々な準備をしています…。 |
A | ……何なんだよ、このCMは。 |
B | ♪赤ペン先生〜、身辺整理♪ (♪赤ペン先生〜、進研ゼミ♪) |
A | 切なすぎるよ!! |
名作No.620 第101回・平均2.636点獲得 | |
あの甘酸っぱさをもう一度 青春eighteen (埼玉・鋳☆スタジオ) |
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ながら | ああ、お父様…ハイキング中に崖から落ちて死んでしまうだなんて……! |
宗太郎 | 申し訳ありませんお嬢様! 助けを呼ぶ社長を前にみすみす転落させてしまった我々の責任です……! |
ながら | フン! あなたたち社員がお父様をよく思っていなかったことは知っているのよ! きっといいチャンスだと思ってわざと見殺しにしたんだわ! |
宗太郎 | そ、そんな…。休憩中に社長がいなくなったと気付いた時には皆で手分けして探しましたし、 助けを呼ぶ声が聞こえて崖から落ちそうになっている社長を発見した時には私も越谷も急いで駆け寄りました! しかし、間に合わず… |
レイタ | 社長が手を掛けていた土が崩れて谷底へ……。 |
ながら | そんな言い訳みたいな話、聞きたくないわ…っ! |
宗太郎 | お嬢様のお気持ちはよくわかります! しかし社長を眼前にして助けられなかった我々も、悔しい思いで一杯なんです…! ――なあ、越谷? |
レイタ | ええ。本当にやりきれないですよ。 落ちそうな社長を見つけてまず蹴ろうとしたのに……。 (助けようとした) |
宗太郎 | 越谷ァーーー!!! |
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