モノクローム 名作選 | |
白川 | 〔バクバクバク…〕――もう、あの灰谷商事のスケベ課長ってほんっとムカつく〜! チャコのことはすごいエロい目でジロジロ見る癖に私がお茶持ってくと まるで「哀れ乳」とでも言いたげな残念そうな顔して、余計なお世話よ! 〔バクバクバク…〕――そりゃ、私だって大きい方がいいに決まってるわよ。 でも、なぜか私って食べると栄養がおなかの方にばかり行っちゃうのよ〜! ほんと、お得意様じゃなかったらその場でお茶ぶっかけてやりたいところだわ! 〔バクバクバク…〕――っていうかうちの課にもあの課長並みの困ったちゃんがいるけど…。 |
―― | 〔ガチャッ〕 |
黒田 | ういーす。今戻りましたー。 |
白川 | (うわ、言ってるそばから早速…)ど、どうも、お疲れ様です。 |
黒田 | いやあ、暮井物産での商談が長引いちゃってこれからやっと昼飯だよー。 ――あ、そうそう。これ、先方から沢山いただいたんで白川さんにおすそ分け。 |
白川 | あっ、はい、どうも…。〔確認する〕――「きのこご飯の素」に「煮豆セット」……ど、どうしてこれを私に? |
黒田 | だって白川さんってヘルシー志向でよく野菜中心の食事してるでしょ?今食べてるお弁当だって、ほら…。 |
白川 | !!――え、ええ。太らないように気を遣ってるから…。 |
黒田 | でしょ?だからきっと白川さんなら喜んでくれると思って。 |
白川 | ――黒田さんて意外と細かいところ見てるんですね。 |
黒田 | んー、まあ、白川さんのことはそれなりに知っているつもりだよ。 よく気が利いてコピーとか消耗品の補充が必要とあらばすぐに察してやってくれるし、 お茶やコーヒーもみんなの好みを覚えてて、一人ひとりに合わせた濃さや熱さで入れてくれるし、 飲み会とかに行けば率先して注文を取りまとめて、しかも盛り上げ上手。 もちろん仕事のスキルも高くてExcel・Wordはお手の物。それに英語も堪能で…… |
白川 | (こんなに詳しく……もしかして私、この人のこと誤解してたかも……。) |
黒田 | ――そして見事なまでにペチャパイ。 (キノコや豆に目がない) |
白川 | それが余計なのよ!! |
白川 | 〜〜〜♪ |
黒田 | おっ、どうしたんだ? ずいぶんとご機嫌じゃないか。 |
白川 | うん、商店街の福引で3等が当たったんだ! |
黒田 | へぇ〜。それで当たったモノはなんだい? |
白川 | 醤油セットだよ。 |
黒田 | ――プッ! なんだそれ、つまんねーの。 |
白川 | つまんないとはなんだよ! 僕こういうの当たったの初めてだからすごく嬉しいんだぞ。 |
黒田 | ハッ、そんなのアイスキャンデーからロト6まであらゆるくじに挑んで 何度もすごいモノを当ててきた俺に言わせれば話になんないね。 |
白川 | じゃあ、そのすごいモノって例えば何さ!? |
黒田 | フフフ、ならば今まで当てた中で一番いいモノを教えよう。 聞いて驚くな、なんとハナマルキの味噌だ! (ジャンボ宝くじの2等) |
白川 | 完全にどっこいどっこいだろ! |
白川 (教師) |
えー、「女」がつくことわざにはいろいろあって、たとえば…… |
黒田 (生徒) |
〔シャカシャカシャカ…〕やっぱJ-POPは2000年前後が至高だよなあ。今の曲はヌルいね。 |
白川 | “女性の心は移ろいやすい”ということを天気に例えて「女心と秋の空」と言ったり…… |
黒田 | 〔シャカシャカシャカ…〕あゆの「SEASONS」に宇多田の「Automatic」、MISIAの「Everything」なんかもいいよな。 |
白川 | “女性の執念はとても深い”ということを「女の一念岩をも通す」とか…… |
黒田 | 〔シャカシャカシャカ…〕でもやっぱ一番はこの曲だよなあ。 |
白川 | おい黒田、さっきから何ブツブツいってる! ちゃんと話聞いてんのか? |
黒田 | 聞いてますよ〜。 |
白川 | じゃあこれ答えてみろ。 “女性はおしゃべりで、三人も集まればやかましくなる”ということ、「女三人寄れば―」? |
黒田 | LOVEマシーン (かしましい) |
白川 | 五人足りんわ!! |
それでは、エントリー作品をご覧ください |