晴耕雨読 名作選 | |
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〔居酒屋にて…〕 |
晴耕 | いやあノリスケ君、この前は相田みつを美術館のチケットをありがとう。 昨日行ってきたんだけどさ、あの名言の数々を見たら人生観が変わったよ。 |
雨読 | そうですか、それは良かった。 |
晴耕 | それで早速ちょっとお願いがあるんだけどさ、 この前君がすごくイイって言ってたあのゲーム、なんていったかなあ…。 |
雨読 | ああ、「どっぴゅん☆みるくパーティー」ですか? |
晴耕 | うん、それそれ。僕もやってみたくなったんだけどよかったら貸してくれないかなあ。 |
雨読 | えー、いいんですか〜? マスオさんにはサザエさんがいるじゃないですか。 |
晴耕 | それを言ったら君だってタイコさんがいるだろ? |
雨読 | まあそうですけどね、アハハハ。それじゃ今度貸しますよ。 でもマスオさんがこういうモノに興味を持つとはちょっと驚きましたね。 |
晴耕 | いやあ、みつを先生のお言葉を見ているうちに心が開放されて思ったんだよね。 人生時には息抜きも必要だって。 |
雨読 | とか言って別のものヌいちゃうつもりなんでしょ? |
晴耕 | こらこら〜。でもまあこのこと、サザエにはナイショで頼むよ。 |
雨読 | もちろんですとも。 |
二人 | アハハハハハハハ……! |
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妻がいたっていいじゃないか 二次元だもの マスオ (つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの みつを) |
雨読 | こうしてあこがれだったセイコちゃんと付き合えるなんて、僕すごくうれしいよ。 |
晴耕 | でも本当に私なんかでいいの? だって私… |
雨読 | 知ってるよ。セイコちゃんがバリバリの腐女子だってこと。 そして「鎖掛ばなな」の名でイベントでは新刊の購入者が引きも切らない 大手サークル「え〜どりあん。」を主宰してた元・BL同人作家ってこともね。 |
晴耕 | ――知ってたんだ…。でも、それならどうして… |
雨読 | 僕は腐女子であることとか同人活動のこととか、そんなの全然気にしないよ。 |
晴耕 | でもっ、BL漫画描いてた当時もたびたび交際申し込まれたけど、 どの人とも結局すぐに別れてばかりだったし…! |
雨読 | きっとそれはセイコちゃんの趣味を知らずに… |
晴耕 | そんなことないわ!みんなBL趣味や同人活動のこと承知の上だったし、 漫画を描く上で参考になることがあるなら協力してくれるとまで言ったのに、 実際に付き合いだすといつもすぐに「やっぱり君のパートナーでいられる自信がない」って感じで… ううっ、ぐすん…。 |
雨読 | 〔抱きしめて〕――大丈夫。僕は絶対君のことを見放したりしないよ。 |
晴耕 | ――本当に? |
雨読 | うん。だから、僕は君のことをもっとよく知りたい。 同人作家時代のこともいろいろ詳しく聞かせてほしいな。 |
晴耕 | ――えへへ。〔涙を拭く〕 えっとね、あの頃はとにかくペニスの大きさばかり測ってて… (「テニスの王子様」にハマってて…) |
雨読 | あ、たぶん別れた原因それだ。 |
晴耕 | ――――――――――――――……… |
雨読 | どうしたんですか晴耕さん?ボーっとしちゃって。 |
晴耕 | ん? …ああ、ちょっと、ある学生時代の恩師のことを思い出しててな。 |
雨読 | どんな先生だったんですか? |
晴耕 | 人生経験豊富でいろいろと含蓄のある話をしてくれたんだが、 特に「友達が人質にされた時の話」が心に残ってるなあ。 |
雨読 | えー、それどんな話だったんですか!? |
晴耕 | なんでも学生時代のある時、その先生が友達と繁華街を歩いていたところ ナイフを持った男が警察に追われているところに出くわして、大勢の人がいる中不運にもその友達 が男に捕まり「来るな!これ以上近づいたらこいつを殺すぞ!!」と盾にされてしまったそうなんだ。 |
雨読 | な、なんだかまるでドラマみたいな話ですね…。 |
晴耕 | それで群衆が悲鳴を上げ街がパニック状態になる中、 警察が「関係ない一般人を巻き込むな、その人を解放しろ!」と言い、 先生も「お願いだ、彼を放してくれ!」と懇願したところ、なんとそいつは先生に向かって 「―――よし、だったらそこで全裸になってストリップショーをして見せろ」と言ったそうなんだ。 |
雨読 | な、なんてことを言い出すんだ…。 |
晴耕 | 警察は先生に 「そんな要求に乗る必要はない。それに君が局部を露出したらそれを見過ごすわけにもいかない」 と言ったそうだが、先生は迷うことなくパンツを脱ぎ捨てると、群衆が見守るなか腰をくねらせて 黒光りする分身を振り子運動からのプロペラ回転、さらにブリッジの状態から おたけぶ象のごとく屹立させると、足を跳ね上げて華麗なヘッドスピンを決めて見せたそうだ。 |
雨読 | す、すごい…。 |
晴耕 | それを見た男は「フッ…わかったよ、俺の負けだ」と言って友達を釈放し、警察に確保された。 しかしそれとともに先生も猥褻物チン列罪で捕まってしまった。 |
雨読 | そんな理不尽な…。 |
晴耕 | でも先生は最後にこう言ったんだ。 「私は何も後悔などしていない。あれ以来彼との絆はより深まったし、 そうして親友の命を守れたことを思えば逮捕されたことなどなんでもない。」とね。 |
雨読 | へえ…、素晴らしい先生ですね。 |
晴耕 | ああ。俺はあの人から学んだんだ、モロ出しのワイセツさというものを…。 (友達の大切さ) |
雨読 | そこ!? |
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