トリックスターズ 名作選 | |
野雪(夫) | ただいま〜。 |
今尾(妻) | お帰りなさいアナタ。 |
野雪 | ほら、これ。お前宛に郵便来てたぞ。 |
今尾 | あ、ありがとうござい・・・こ、これは・・・。 |
野雪 | ん、誰から? |
今尾 | ・・・あ、中学の同窓会のお誘いだったんですけど・・・。 |
野雪 | 同窓会かー。俺も久しくやってないなぁ・・・あ、いつ頃あるんだ? 場所は? |
今尾 | ・・・いえ、私、行きません。 |
野雪 | おいおい、どうしてだ? 久しぶりに友達に会ってくればいいじゃないか? |
今尾 | 実は、中学の同級生とはあんまり会いたくないんです。 |
野雪 | 会いたくない? |
今尾 | 会いたくないというか、会いづらいというか・・・。 私、早くに両親を亡くしたじゃありませんか。 |
野雪 | ああ、それは聞いたけど・・・あ、まさかお前・・・。 |
今尾 | ええ・・・その事でみんなに色々とからかわれまして・・・ 私・・・ヒジで顔面「ゴッ」ってしたので。 (いじめられっ子でしたので) |
野雪 | どんだけ武闘派だよ! |
野雪 (スカウト) |
5回を終わって完全試合ペース、か・・・やはりあの投手は素晴らしい。 今年の大学・社会人ドラフトの目玉になるのは間違いないな。 しかし、ウチのドケチなオーナーが獲得資金を出してくれるかどうか・・・。 |
今尾 (オーナー) |
私がどうかしたかね? |
野雪 | お、オーナー! 本日はご足労頂いてありがとうございます。 |
今尾 | 全くだ。ガソリン代が無駄にならないことを祈っているよ。 |
野雪 | (ホントにケチだなこの人・・・)ええ、それはもう・・・ご期待にそえることは間違いないかと。 |
今尾 | 別に期待などしていないがね。で、その100年に1人の逸材とやらはどれかね? |
野雪 | あ、今投げている彼です。 オーナーもご自分の目でご覧になれば獲得を考えて下さると思いまして。 観てください、あの見事な投球を! |
今尾 | ふむ・・・。 |
野雪 | 昨年、一昨年とも目玉選手をガイアンツに獲得されてしまいました。 それもひとえに資金力に圧倒的な差があったためです! |
今尾 | ・・・。 |
野雪 | しかし、今年だけは!今年だけはあの投手を逃すわけにはいかないのです! 彼はそれだけの逸材です!是非とも、是非ともガイアンツに負けない資金を!お願いします! |
今尾 | なるほど、確かに来たかいがあったかもしれんな。この投手は素晴らしい。 荒れ球のストレートでグイグイ押すかと思えば、キレのいい変化球を絶妙なコースに決めてくる・・・。 |
野雪 | と、言うことは・・・オーナー! |
今尾 | ああ。ただし1000円以内だ。 (まさに変幻自在だ) |
野雪 | ケチにも程があるわ! |
野雪 (旅行者) |
いやー、思い切って南の国に旅行に来て大正解だったなぁ。 青い空、白い雲、マリンブルーに輝く海・・・もうサイコー! (プゥ〜ン・・・プゥ〜ン・・・) ま、ちょっと蚊が多いのが難点だけど・・・ああもう鬱陶しい! (プゥ〜ン・・・プゥ〜ン・・・バシッ!) おりゃっ!よーし、仕留めたっと。 |
今尾 (警官) |
(ピピーーッ!)動くな!!警察だ!! 両手を挙げておとなしくしろ! |
野雪 | うわぁぁぁっ!な、何だ!?何で警察が!? |
今尾 | 動くなよ・・・お前は今、とんでもない重罪を犯したのさ。 |
野雪 | 重罪!?何かの間違いじゃないのか? |
今尾 | 今、蚊を叩いて殺しただろう? このチィスウタロカ王国では、蚊を殺したら罪になるんだよ。 |
野雪 | たったそれだけで!? |
今尾 | 宗教上の理由ってヤツだな。 この国で信仰されているカイーノ教では、蚊は神の使いとされている。 神の使いをやすやすと殺せるわけが無いだろう? |
野雪 | で、でもそんなこと言ってたら全身刺されまくって大変だろ! |
今尾 | ああ、だからこの国はムヒの輸入量が世界一なのさ。 |
野雪 | 自分とこで製造しろよ!何でメイドインジャパン頼りなんだよ! |
今尾 | ま、諦めて罪を償うんだな。 |
野雪 | そんな・・・なぁ、知らなかったんだ、見逃してくれよ・・・。 |
今尾 | おいおい、そりゃ無理な話だ。 スピード違反なんかとは訳が違うんだぜ? 蚊を殺すことは殺人の次に重い罪だからな。 |
野雪 | 殺人の次って・・・まさか、死刑に!? |
今尾 | いや、流石に死刑にはならないが、数年の懲役刑や罰金刑で済む話でもない。 量刑は・・・まぁ、ムヒ超一気飲みだろうな。 (無期懲役のみだろうな) |
野雪 | 結果的に死ぬわ! |
それでは、エントリー作品をご覧ください |