劇団ヴァージニティー 名作選
美奈子 おはよー。
コトミ 美奈子、何のんきに化粧室になんか来てんのよ。完全に遅刻じゃない。
美奈子 へへ、ちょっとね。
コトミ あんたまた新しい恋人の家から出勤したわね。
美奈子 ご明察。
友佳子 わっ、いいないいな。相手はどんな人?
美奈子 ちょっと貧乏だけど、何かこう、神々しいものを感じるのよね。
うん、アタシの目に狂いは無いはず。
コトミ 出た出た、美奈子の先物買い。
友佳子 いっつも目利きミスってるのに、懲りないんだね。
美奈子 余計なお世話。
友佳子 でも、急がなくていいの?課長、カンカンだよー。
美奈子 課長?ああ、今夜お相手してやれば楽勝よ。
コトミ ああそうか、あんたあいつの愛人もやってるんだっけ。
友佳子 バレたらやばいよ、あの課長嫉妬深いので有名だもん。
美奈子 大丈夫大丈夫、さて、行こっかな。

(バタン)
(ガチャ)
美奈子 おはようございまーす。課長、遅れてすいませーん。
大牟田 美奈子くん、ちょっと来たまえ。
美奈子 はい、何でしょう。
大牟田 オクレと寝た理由を聞こうか。
(遅れてきた理由を聞こうか)
美奈子 バレてーら!


(Trrrrr)
牧原 あー、もしもし。私だが、山村秋野官房長官と秘書の大牟田を頼む。

(数十秒後)
二人 お呼びでしょうか、総理。
牧原 うむ、まずはこのゲラを見てくれ。
秋野 ほほう、『現役総理の酒池肉林!金と女の舞台裏』とありますね。
牧原 コレは近日発売の文芸夏冬が特集を組もうとしている記事だ。
大牟田 なかなか事細かに記載されていますね。
牧原 そうだ。こんな事は、私の周囲でもほんのごく一部の人間しか知らないことなんだが、
マスコミの嗅覚は敵ながら天晴れだ。
私の権限で、世に出る前に握りつぶすことが出来たがな。
秋野 流石は総理です。
牧原 官房長官、キミは私の勘定奉行として日々頑張っている。
そのキミの周囲から、情報が漏れたりはしていないだろうな?
秋野 ご安心を。私は決して総理を裏切ってはおりません。
牧原 大牟田、分かっているだろうが、一国の総理総裁たるもの、スキャンダルはご法度だ。
今後こういうことが今後無いよう、秘書のお前がしっかり管理してくれなければ困るぞ。
大牟田 分かりました、今度は愛人を周囲にバラしましょう。
          (今後は細心の注意を払いましょう)
牧原 お前が俺を売ったのか!


(ピンポーン)
山村 ごめんください。お父様ですね、初めまして。
大牟田 娘から話は伺ってます、どうぞ。外は暑かったでしょう、どうぞそちらにスーツをおかけ下さい。
山村 ありがとうございます。

(それからどーした)
コトミ ただいまー。
大牟田 おお、お帰り。
のっこ おかえりー。
コトミ あなた、家庭訪問はどうでした?ごめんなさいね、仕事休めなくて。
大牟田 うむ、かなり有意義だったよ。だから気にしなくていいぞ。
コトミ どんな先生だった?
大牟田 大学を卒業したばかりの、なかなか甘いマスクの好青年って感じだな。
コトミ で、のっこは学校でどうなの?
大牟田 それがなあ、先生がいくら注意しても聞く耳を持たないらしい。
コトミ まあ!どうしてよ、のっこ!
のっこ ふーんだ。
大牟田 まあ、そういう年頃なんだろうし、最近の先生はいろいろ気を遣ってしまうんじゃないか。
コトミ 近頃の子供はあまり激しく怒ると、余計にへそ曲げちゃうのかしらね。
大牟田 だが、初めて会ったがあの先生はとても若いし、肌と肌で触れ合う
体当たりの熱血指導が期待できそうなことが分かった。
コトミ それで、あなたは先生にどんなお願いをしたの?
大牟田 服を身に着けずに、ふんどし着用をお願いしたよ。
(何も気にかけずに、うんとしかるようお願いしたよ)
コトミ どう有意義だったのよ!!!
それでは、エントリー作品をご覧ください